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高温で瞬時に約2,000倍硬くなる高分子ゲルを開発~交通事故やスポーツ時に身体を保護するスマートプロテクターや熱吸収材としての応用に期待~(先端生命科学研究院 特任助教 野々山貴行)

2019年11月19日

ポイント

●加熱すると瞬時に2,000倍近く硬さがジャンプする高分子ゲルを開発。
●一般的な高分子の性質とは逆の,低温で柔らかいゴム状態,高温で硬いガラス状態を示す。
●温度に応答して硬くなるスマートプロテクター等の応用に期待。

概要

北海道大学大学院先端生命科学研究院の野々山貴行特任助教,(グン) 剣萍(チェンピン)教授らの研究グループは,高温で瞬時に約2,000倍硬くなる新規高分子ハイドロゲルを開発しました。

ビニール袋やペットボトルなどのプラスチック製品を加熱すると柔らかくなるように,一般的に高分子材料は低温で硬く(ガラス状態),高温で柔らかく(ゴム状態)なることが常識でした。研究グループは,一般的な高分子とは逆に低温で柔らかく,高温で硬くなる高分子ゲルを世界で初めて作製しました。

本高分子ゲルは,食品添加物にも使用されるような汎用性のある安価で無毒な原料から簡単に作製でき,室温付近の比較的低い温度では柔らかく伸びやすいが,ある温度以上で急激に硬くなります。身近なもので例えると,柔らかい食用ゼリーが硬いプラスチックへ瞬時に変わるほどの劇的な変化に相当します。硬い状態でも冷やすと元の柔らかい状態へ戻るため,急激な硬化を何度でも繰り返し引き起こすことが可能です。また,硬化する温度はゲルの調製条件で広くチューニング可能で,目的温度に合わせた材料を設計できます。

この高温で硬くなる性質を利用して本高分子ゲルとガラス繊維布を複合した材料は,交通事故やスポーツのアクシデントの際に発生する大きな摩擦熱に応答して硬くなり,身体を保護するスマートプロテクターとしての応用が期待できます。実際に,アスファルト表面に荷重を掛けて高速で引きずったところ,ゲル繊維複合体が摩擦熱で硬くなり,ほとんど壊れないことが実証されています。また,硬くなる際に大きな熱吸収を伴うため,本高分子ゲルは昨今の酷暑対策となる熱吸収材としての応用も期待できます。窓ガラス等に本高分子ゲルを貼っておくと,太陽からの熱の一部を吸収し,室内の温度上昇を抑える効果が確認されています。

本研究成果は,高温で硬くなる新規温度応答性高分子の基礎研究及び温度応答型スマート材料の応用研究の促進にも貢献することが期待されます。

なお,本研究成果は,2019年11月18日(月)公開のAdvanced Materials誌に掲載されました。

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温度上昇による高分子ゲルの相分離の模式図