2020年10月28日
ポイント
●二酸化炭素分離剤であるイオン液体中に二酸化炭素が取り込まれた様子を可視化することに成功。
●これまで様々な議論があったイオン液体中の二酸化炭素の様子を実験と計算科学により解明。
●地球温暖化ガスである二酸化炭素の分離の高効率化に期待。
概要
北海道大学大学院地球環境科学研究院の野呂真一郎教授,同電子科学研究所の中村貴義教授,同創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の土方 優特任准教授,株式会社リガクの佐藤寛泰研究員らの研究グループは,イオン液体中の二酸化炭素の様子を柔らかい結晶を使って可視化することに成功しました。
大気中の二酸化炭素濃度上昇は地球温暖化の原因の一つとして知られており,二酸化炭素を大気中に放出する前に高効率に分離回収する試みが世界中で行われています。回収法の一つであるイオン液体による吸収法はこれまで精力的に研究されてきましたが,規則正しい構造をもたない液体であるがゆえに,イオン液体中に吸収された二酸化炭素の構造を見る?知ることはこれまで困難でした。本研究では,液体の柔らかさと結晶の規則性を兼ね備えた柔らかい結晶中にイオン液体成分を組み込むことで,イオン液体中に吸収された二酸化炭素の状態を可視化することに成功しました。本研究成果は,二酸化炭素分離の高効率化へ向けた材料設計に重要な指針を与えることが期待されます。
なお,本研究成果は,2020年10月27日(火)公開のCommunications Chemistry誌に掲載されました。
また,本研究は,文部科学省科学研究費補助金「挑戦的研究(萌芽)」(18K19864),北海道大学「物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム」による支援を受けて行われました。
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