2021年5月31日
ポイント
●ポリスチレンやポリエチレンなどの様々な汎用ポリマーに発光特性を与える方法の開発に成功。
●ボールミルによる機械的刺激によってポリマー主鎖の結合を切断し,そこに発光性分子を導入。
●複雑な有機合成的手法を用いずに,簡便に機能性ポリマーを調製することが可能。
概要
北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD),同大学院工学研究院の伊藤 肇教授,久保田浩司准教授,ジン?ミング特任助教らの研究グループは,機械的刺激によってポリスチレンなどの汎用ポリマー材料に発光機能を付与する新しい方法を開発しました。
発光機能などをもつ機能性ポリマー材料は,現代社会に幅広く利用されています。しかし,それらの調製には多段階の合成ステップがしばしば必要となるため,複雑な有機合成反応に頼らない,より簡便な合成法の開発が望まれていました。
本研究では,ポリスチレンやポリエチレンといった汎用ポリマー材料に直接的に発光機能を付与する方法を開発しました。これにより,複雑な多段階の化学合成を必要とせずに,様々な種類の発光ポリマーを簡便に作成することが可能となりました。
本研究成果は,2021年5月14日(金)公開のAngewandte Chemie International Edition誌(ドイツ化学会誌)に掲載されました。
なお,本研究は,科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「レドックスメカノケミストリーによる固体有機合成化学(JPMJCR19R1)」,創発的研究支援事業FOREST「固相メカノラジカルの化学と応用(PJ2521A021)」,文部科学省科学研究費補助金「基盤研究A」(18H03907),「新学術領域研究(ソフトクリスタル)」(17H06370),「基盤研究B」(21H01926),「若手研究」(21K14637)「新学術領域研究(ハイブリッド触媒)」(20H04795),文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の支援のもとで行われたものです。
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