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牛のリンパ腫発症を予測するがん検診技術を開発~発症予測法の実用化による畜産被害の軽減に期待~(獣医学研究院 教授 今内 覚)

2022年10月21日

北海道大学
国立感染症研究所
株式会社ファスマック
岩手大学
公益財団法人伊藤記念財団

ポイント

●ウイルス感染細胞のクローナリティ解析技術を開発し、牛伝染性リンパ腫の診断と発症予測に成功。
●現在、解析キットの市販化と臨床現場におけるがん検診の実用化に向けて、研究開発を展開。
●ウシのがん検診の実用化により、畜産被害の軽減と生産性の向上に期待。

概要

北海道大学大学院獣医学研究院の今内 覚教授、岡川朋弘特任助教、国立感染症研究所の斎藤益満主任研究官、株式会社ファスマックの松平崇弘氏、岩手大学農学部の村上賢二教授、山田慎二准教授らの研究グループは、ウイルス感染細胞のクローナリティ解析技術を開発し、牛伝染性リンパ腫の診断並びに発症予測に応用しました。

牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は日本をはじめとして世界中の農場で蔓延しており、BLVの感染を原因とする牛伝染性リンパ腫(EBL)の発生も急増しています。EBL発症牛は淘汰の対象となり、牛乳や食肉の生産ができずに全廃棄となります。EBLは発症までに3年以上かかるため、全廃棄になると牛の売却利益が失われるだけでなく、それまでに要した膨大な経費や時間が無駄になります。しかし、EBLの発症機序は未だに不明な点も多く、発症を予測する方法も存在しません。

そこで本研究では、EBLの発症予測法の開発と実用化を目標に、プロウイルス挿入部位の網羅的増幅法(RAISING、ライジング)を用いて、BLV感染細胞のクローナリティ解析を実施しました。さらに、独自の解析ソフト(CLOVA)を用いてクローナリティの程度を正確に数値化しました。その結果、EBL発症牛は未発症キャリアと比べてクローナリティ値(Cv)が高く、CvEBLの高精度な診断マーカーになることがわかりました。さらに、BLV感染羊モデルの解析では、Cvがリンパ腫を発症する前に上昇し、発症予測マーカーになることも明らかにしました。

本研究により、RAISINGによるクローナリティ解析はEBLの診断法並びに発症予測法として有用であると示されました。今後は大規模な野外調査により本技術の有用性を臨床現場で実証するとともに、解析キットの市販化を進め、EBLによる畜産被害の軽減や生産性の向上に役立てていきます。

なお、本研究成果は、20221013日(木)公開のMicrobiology Spectrum誌に掲載されました。

論文名:Diagnosis and early prediction of lymphoma using high-throughput clonality analysis of bovine leukemia virus-infected cells
URL:https://doi.org/10.1128/spectrum.02595-22

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RAISINGを用いたBLV感染細胞のクローナリティ解析