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高濃度なイオン導入がもたらす1次元繊維状物質の機能開拓に新展開~1次元状態を保持したアモルファス構造(擬アモルファス)の発見~(電子科学研究所 助教 藤岡正弥)

2023年1月11日

北海道大学
九州工業大学
山梨大学

ポイント

●1次元物質ZrTe3に大量のAgイオンを導入することに成功。
●イオン導入による新規結晶相と構造変化過程で生じる擬アモルファス相を発見。
●電子物性の高い可制御性と擬アモルファス状態に由来する機能開拓に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の藤岡正弥助教らの研究グループは、九州工業大学大学院工学研究院の田中将嗣准教授、山梨大学大学院総合研究部の長尾雅則准教授らと共同で、1次元状の結晶構造を有するZrTe3に、高濃度にAgイオンを導入することに初めて成功しました。このようなイオン導入は、Liイオン電池等の電極反応に代表され、主に2次元層状物質で研究が進められています。2次元層状物質は、層間にイオンが収容されるため、イオン導入が進むにつれて、層間が広がった構造に変化します。一方で、MX3(M:遷移金属、X: SSeTe)の組成式で表される一次元繊維状物質は、繊維の周囲にイオンが収容されると考えられていますが、イオン導入に伴う構造変化は未解明のままでした。

研究グループでは、結晶にダメージを与えない固相間のイオン拡散を利用し、Agイオンを大量に導入したAgxZrTe3の合成に成功しました。この結果、x = 2.5の時、ZrTe3の一次元三角柱構造が一次元八面体構造に変化することを初めて見出しました。さらに変化の過程で、一次元状態を保持したまま、構造の長距離秩序が消失したアモルファス状態(擬アモルファス相)を発見しました。

この擬アモルファス相では、Agイオン濃度が連続的に変化することで、超伝導、金属、半導体へと電子物性が大きく変化することが分かりました。さらに擬アモルファス相に由来する低い熱伝導率やAgイオンの高速拡散等、輸送特性における種々の機能性が期待されます。また、第一原理計算によりAgイオン間の引力相互作用が擬アモルファス状態形成の起源となっていることが示唆され、このような状態はAgZrTe3に限らず、様々なMX3と導入イオン種の組み合わせに応じて実現すると考えられます。今後、擬アモルファス相を有する様々な物質系で新奇な機能性の発現が期待されます。

なお、本研究成果は、202317日(土)公開のAdvanced Functional Materials誌にオンライン掲載されました。

論文名:Intercalation on transition metal trichalcogenides via a quasi-amorphous phase with 1D order(1次元性を有する擬アモルファス相を介した遷移金属トリカルコゲナイドへのインターカレーション)
URL:https://doi.org/10.1002/adfm.202208702

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繊維方向の一次元性を保持したままAg濃度が増加して新たな結晶相を形成